舞台AMADEUS~登場人物3人にメッセージを書いてみた~

 「そもそもお前は凡人ではない、サリエーリ。」「結局のところは、優越感に浸っていたんでしょ。」「隣の芝生は青いってこのことか。」

 

何度見ても、真っ先に込み上げてくるのはこの感情だった。この先、自分の経験値によって変化することがあるのか分からないけど、25歳の小娘が抱いた正直な感情。

 

 

サリエーリへ

 

あなたは幾度となく「自分は凡人」「モーツァルトは神に才を与えられた特別な人間である」と、自分と彼を比較した。自分の過去に対する言い訳をするための、自虐。あれだけのことをしておいて「許してくれなくてもいい、理解してくれ」だなんて、虫が良すぎる。

 

自分の作り出す音楽に自信と誇りを持っていた彼の、音楽人生を奪った。自分の気持ちに真っ直ぐにしか生きられなかったけど、誰に対しても裏表なく接した人生そのものをも奪った。確かに彼の音楽は、(少なくとも)あの時代には理解されなかった。彼自身の下品な言動は、とてもじゃないけど皇帝の前・宮廷で相応しくなかったことは分かる。だが、「彼の音楽を唯一理解できた」というあなたが彼を社会的に抹殺し、最終的に死にまで追いやる権利がどこにあった?

 

サリエーリさん、よく考えて。あなたは「神が与えた才能」を持つモーツァルトの音楽の良さが分かる、理解できる、あの時代で唯一の人間だった。本当に彼の音楽が好きだったのならば、皇帝に「この人の音楽のココが素晴らしい、こう解釈するのです」と進言すれば良かったのではないの?都合がいいことに、ご主人である皇帝陛下のおつむは弱かったんでしょ?それなら尚更、あなたの言う通りに理解が進みましたよね?

でもあなたは違う道を選んだ。自分の立場を、目指していた「主席宮廷楽長」への道を閉ざされないように、自分より作曲能力があると認めた人間を貶めた。自分が持っているその「立場」を利用して。

素晴らしい音楽に心魅かれ、神に「自分を音楽家にしてくれ」と祈ったあなただけど、あくまでも「自分が作曲した音楽」に拘った。人が作った音楽では満足できなかったのですね。しかもその相手が、自分とはあまりにもかけ離れた性格・生活を送っている人間だったから。最終目的を履き違えてしまったあなたの人生は、幸せでしたか?

 

あなたの独白から始まるこの舞台。お菓子が好きだ、とか言って私たち未来の亡霊たちの心を引き付けるのもずるいよね。最初の時点で味方につけてしまうんだもの、彼の登場シーンなんてあなたと一緒にビビるしかないじゃん?なんだこいつって思えるように仕掛けてくるじゃん。最初に味方させておいて、突然「今日限りのこの命」とか言い始めて回想劇を話した末に、序盤の時代に戻って私たちが好意を抱いたおじいさんの格好に戻って「苦しい死にます、えいや!」って。本当にずるいと思う。

 

最初に好意を抱いてしまったからなのか、回想中、彼の家の前へマスク+マント姿で向かったときは本当にショックだった。何するのって。そんなところまで落ちてしまったの?って。その後に「死んでくれ!一人にしてくれ!」って叫ぶ姿は、心底裏切られた気持ちになった。なんだかんだ彼の音楽を理解してくれたあなたによって、彼の命が削られていくのが苦しかった。彼が子供返りしてしまったことは予想外だったのでしょうけど。彼が父親と自分を見間違えて抱きしめてきたとき、満足気な笑みを浮かべていたこと、今思い返しても怒りの感情しか込み上げてこない。

 

回想中、彼のことを「モーツァルトくん」→「ヴォルフガング」→「アマデウス」って呼び名を変えていったことも気づいたよ。あなたって本当に策略家、「裏は古狐?」ってコンスタンツェの言葉がぴったり。大っ嫌い。彼の支えとなっていた彼のお父さんが亡くなった後、自分の新しい友達として「ヴォルフガング」とファーストネーム呼びし始めて。親しさを存分に感じさせておきつつ、フリーメーソンに纏わる曲を書かせた。彼の最期では「お前は神に愛されてなどいないアマデウス!」と吐き捨て。「アマデウス=神に愛された子」が、自分の人生を振り返り、どうしてこうなったのか神の代わりに教えてくださいと嘆願している中で、「愛されていない」の一言がどれだけ彼の心に深く鋭く突き刺さったか。生きることに対して持っていたかもしれない一筋の光、“このレクイエムを書ききったら神が許してくれるかも”なんて思っていたかもしれないその希望を、その一言で思い切り蹴り飛ばした。彼の楽譜を破いて食べたところで、絶対あなたの血にも肉にも彼の才能は移らない。移させない。あなたみたいに人のご機嫌ばかり見ている人に、彼のような型破りの音楽は作れない。

 

結局彼の死後も、直接的な神の懲罰を受けなかったあなた。大したことない連中から大したやつだと崇められるのが苦しい、これが罰だと気づいたと言っているけれど。その時点で「民衆は大したことない」と周りを見下しているところがいや―な感じ。 とは思うけど、(自分が破滅へ追いやった)モーツァルトの楽曲は生き残って、自分の曲は時代が去った後には残らないと気づけたあたり、やはり「耳が良すぎる」んだと思う。神様は、あなたにきちんと才能を与えてくださっていたよ。その耳をね。耳が特別なことに気づいておきながら、なぜ自分には作曲能力を与えてくれないんだ、と嘆いていたけれど。神はその耳を使って、モーツァルトという(言動はわきまえられないけれど)素晴らしい作曲家の音楽を世に広めていく手助けをしていってほしかったのでは?と思いました。民衆は、その耳すら持っていないから。あなたのその耳・理解能力が私は羨ましく思う。絶対許さない存在ではあるけどね。

 

隣の芝は青い。

 

 

 

 

コンスタンツェへ

 

綺麗なのはもちろん、本当に感情に素直な女性。芯が強くて、喜怒哀楽が誰よりもハッキリしていたかな。的確なことズバズバ言える、かっこいい一面もあって、憧れます。あなただから、突拍子もないモーツァルトの相手になれたんだなぁと思います。

 

正直、最初はお姉さんと結婚しようとしていた人を、自分の夫として迎えることって自分のプライド含め嫌な気持ちが多かったと思う。自分をダシにして、お姉さんとずっと近くにいられるようにしているのかなとか疑ったこともあるでしょ?しかも彼は生徒みんなに手を出しちゃうしね?彼のお父さんから「お前と結婚したら野垂れ死にだ」なんて手紙が届くこともあった中、よく我慢したなと。

 

実は、池袋で見たときと、松竹座で見たときでは、あなたが別人に見えました。

ごめんなさいだけど、池袋ではお金目当てでモーツァルトと結婚したのかなと思ってた。最後の「楽譜の重さで売値を決めた」のも、彼のことを実は理解していなくて、さっさとお金にしたいからだと思ったし、子供が生まれてから湯池に行ったのも売れなくなった彼には用無しだからかなと思った。彼の口から下品な言葉を聞いたことがないっていう嘘も、全て彼の楽譜・音楽の価値を下げないためなのかと。彼の唯一の理解者はお父さんだったんだと。

 

でも、松竹座で見たあなたは、心の底から旦那様のことを愛しているように見えました。何がどう違ったのか聞かれると分からないけれど、楽譜を重さで売ったのは、生活のため仕方なくだし、モーツァルトは下品ではなかったという件についても彼の名声を守るためであって*1お金のためではないなって。彼の死に際、彼が孤独に見えたのは、彼の中で「音楽≧妻」だったのかな、そうだとしたらスタンツェ本当にかわいそうとも思った。

 

物語に正解も不正解もないけれど、どちらにしても彼といちゃこらしていたあなたはとってもかわいかったし、愛らしかったし、モーツァルトがあなたのことを大事にしたくなる気持ちもよーーーーく理解できました。

 

サリエーリに対して暴言を吐くのも、あなただけだよね。人の本筋を見抜くというか、ある意味モーツァルトと同じで、真っ当な意見だったら相手に対して斬り込んでいける強さ、見習いたい。

 

話がまとまらないけど、あのモーツァルトのことを(他の男に自分を差し出そうとしてまで)支えてくれて、最後一緒にいてくれて、「結婚した日、あの日はあたしにとって最良の日だった」って言ってくれてありがとう。

 

 

 

モーツァルト

お手洗い系統の言葉いっぱい言うし、笑い方もおかしいし、とてもじゃないけど空気なんて読めないあなただけど、どうしても憎めない愛嬌が溢れていて、好きになるしかありませんでした。

でも、まず確認したいのは、コンスタンツェとどうして結婚したの?お姉さん目当て?本当に好きだったの?ってこと。最初はお姉さん目当てだったとしても、時間の経過ごとに本人のこと好きになってたんだと信じています。お尻ぶってって言うのも、自分が喜んでるんじゃなくて、本当は奥様に叩かせると機嫌が直りやすいこと知ってるからでしょ?笑

 

奥さんが泣くようなことしちゃダメよ~~って都度声をかけてあげたかった。隣にいる宮廷作曲家の方、中身はものすっごく黒いドロドロ抱えてるからそれ以上近づかないでって止めてあげたかった。感情に・自分の気持ちに正直でしかいられないから、宮廷っていう堅苦しい塀の中では生き辛かったとお察しします。

 

「生きている人間のことが書きたい」「神や伝説なんて糞くらえ」…サリエーリと真逆をいくあなた。でも、本当に辛いときは神様に頼ってしまう部分もあって。幼いころお父さんと一緒に演奏旅行をしまくってほめられたこととか、とんでもないこと言うから度胸もあるのかなんて思うけど、あなたを支えているのは神や思い出といった「もう掴めないもの」で。ああ、こんなに才能がある人も、私たち凡人と変わらない人なんだぁって。舞台中は考えられないけど、後から思い返してみるとここすごくグッとくる。

 

自分の音楽に、誰よりも自信を持っているあなたが好きでした。皇帝に楽曲を理解されなくて落ち込みながらも、「僕にしか書けないや」って言いきる姿が好きでした。自分自身で生み出すしかない作曲の仕事。人に媚びず、我が道を行くのは容易いことではないと思う。誰に頼まれたのかも分からないレクイエムを必死に書いている姿、目に焼き付いています。適当に書き上げることもできただろうけど、決して手を抜かないところカッコいい。 その気持ちがあるから、サリエーリがやってきたときに「今まで何百曲も作ったと自慢してきたけど、そんなの嘘ですよ。本当に良いものは何1つ作ってこなかった!!!」と初めて作曲に対して弱音を吐いたとき、言いようのない悲しさを感じた。あんなに自信をもっていて、「待っているお客さんがいるとき、作曲なんて難しくありませ~ん」なんて話していたあなたはどこに…やっぱり私はあのひとが許せません。

 

お父さんが亡くなったとき、「周りの悪に気付かせてくれる人がいなくなった、僕はそういうの分からない」と言ってたのも印象的。さっきも言ったけど、素直すぎるし周りのことを疑ったりしない(だからこそ空気読まなくて問題なんだけど)ことをお父さんは分かっていて見張ってくれていたんだとこちらが知るタイミング。その後まんまとサリエーリに騙されていく様子を見るのは辛かった。素直すぎというか、周りを疑いすぎることも良くないけれど、きちんと見極めていくことは必須だったよね。お父さん、そこまで身に付けさせてあげてほしかった…そうしたら、良い音楽を作り続けられる時間がもっともっと長く続いたかもしれなかったよね。

 

 

モーツァルトおちゃらけた雰囲気も、お辞儀も、仕草も、表情も、無邪気な笑い方も、 
大事な楽器の下を潜り抜けていちゃこらしちゃうところも、爪がにゅっなところも、突然プロポーズ(しかも2回のイケボ)するところも、直後でふざけるところも、お呼び出しがかかって「さあ行きましょう、音楽が待っています(イケボ)」なところも、
自分へ向けた歓迎行進曲の演奏中にリズム踏んじゃいそうになるところも、皇帝に対しても笑い方とか態度を変えないところも、片膝に重心かけて縦に大きく拍手したりバイバイしたりするところも、作ってもらった曲を悪気なく変奏しちゃうところも、
愛人カバリエリさんを気遣ってハンカチあげちゃうところも、その後すぐに婚約者のコンスタンツェとにゃんにゃんするところも、僕には仕事が来ないのはなんで?っと酔っぱらうところも、(この時点からお腹痛そうにしてるのに痛いって言わないところも)、
コンスタンツェが他の男とふざけてたから嫉妬したり大事にしたいからって怒鳴ったりするところも、作曲と玉突きが上手いとかかけてくるところも、 “ビリヤードのためのグランドファンタジア”なんて壮大な題名をサラッっと言ってのけるところも、
生きた人間のオペラが書きたいって世の中の流れに反したこと言って椅子の上に立っちゃってお偉いさんの口をぽかんと開けさせてしまうところも、さすがに空気が固まったことを察して笑わせてくるところも*2、超短期間でそのオペラ書き上げてしまうところも、オペラのバレエシーンを抜かれてしまって必死に対抗するところも、早く書くのは得意だろうと言われて「こんな完璧な場合は違います」って言い切るところも、楽譜戻してもらえて喜ぶところも、結果的にそのオペラが皇帝に認められてなかったけど「自分の中では傑作」と言えちゃうところも、
サリエーリが偉くなったことを皮肉った奥さん(身重)に「スタンツェおよし」って突然の大人対応するところも、寒い中薄い毛布にくるまって作曲してるところも、自分たちが暖を取るために燃やした手紙が亡くなったお父さんからのものだったと気づかないくらいには作曲に夢中だったところも、お父さんのこと悪く言われてキレちゃうところも、書いてた楽譜を奥さん(身重)に取り上げられたときに「やめろ」って小さい声で言っちゃうところも、その上で「ダンスできる曲書いて」とか言われたところをバックハグして止めるところも、「このキスどこからくる~?」って突然奥さん(身重)を甘やかして宥めるところも、ぱぱぱぱぱぱぱぱー♪って奥さん(身重)と二重唱始めちゃうところも、自分も寒いはずなのに奥さん(身重)が具合悪くなったら1枚しかない毛布をすぐかけてあげるところも、
奥さん(出産済)が家を出て行っちゃって「ボードビル見損なったなぁ」って強がるところも、「作曲は簡単、難しいのは結婚」ってやっぱり悩んでいるところも、素直すぎるが故にサリエーリの策略にはまってしまうところも、
昔の愛人(カバリエリ)が 出てくれば元気よく「シッニョーーラ!」って言うところも、昔より小さな規模であっても自分の曲を披露するときに力を抜いたりせず目に光が宿っているところも、
夢の中なのか現実なのかわからないけど黒い男の夢を見るんですって唯一頼れる(と思っていた)サリエーリに泣きつくところも、一人もくもくとその男のためにレクイエムを書いているところも、そのレクイエムがいつものようにサラサラッと書けなくて悩み苦しむところも、
得体の知れないその男がやってきても「見て下さい」「二重フーガになっていて」ときちんと対応するところも、耐えきれなくなって昔の思い出を語り始めるところも、神の代わりに答えてとせがむところも、自分でマスクを外したことでその男が実はサリエーリであって裏切られたとおののくところも、サリエーリに追い詰められて机の下に逃げ込むところも、「弱っている病んでいる君はお払い箱だ、今できるのは死ぬことだけだ死ね死んでくれ私の前から消えてくれ一人にしてくれ」ってサリエーリに言われてパパを求めて子供返りしてしまうところも、「抱っこしてよその腕おろしてくれたらさ、そこに飛び込むからさ」っていうところも、ほっぷほっぷぴょーんも、キスの歌一緒に歌おう覚えてる?って言うところも、「おらーにゃっふぃがったふぁっまりーな がみーなふぁー♪(ちゅちゅちゅちゅ)」って綺麗すぎる澄んだ歌声を放つところも、サリエーリをお父さんと間違えて抱きしめるところも抱きしめてもらって涙するところも、
奥さん(子供どこいった)が帰ってきて子供返りが戻るのかなと思ったら戻ってなさそうなところも、「サリエーリにね、毒を盛られたんだ、サリエーリなんだよ自分で言ってた」って状況は一応理解しているところも、奥さんの膝の上でレクイエムを(脳内で)奏でながら消えるように亡くなっていくところも、

 

全部全部、バカバカって思いながらも、愛おしかったよ。この人なんでこんなに早く死んじゃったんだろう、死ななきゃいけなかったんだろうって、お墓へシュッと消えていくあなたを見ながら毎回心のダムが決壊していました。

 

どんな才能を持っていたとしても、自分が持っていないものに憧れを持ってしまうのが人の性。「僕もあなたの立場が羨ましくてぇ~」なんて、サリエーリのこと笑って許してるかもしれないから、ただただ、あなたがどこかで今も幸せに作曲していることを祈っています。

またどこかで、あなたに会えますように。

 

 

 

*1:自分だけ彼の本当のところを知っていればいいという気持ちもあっただろうけど

*2:今世紀に書かれた尤もらしいオペラは、みんな、退屈でありまーす!‬

ほら。このぽかーーんと開いた4つの口。完全な四重唱だ。あぁ゛ひひーひーひー

そうだ、これ僕書いてみよう。いまこの瞬間を、みんながこうしているところを。

侍従長閣下はこう御考えだ
「無礼なモーツァルトめ、早速皇帝に報告しなければ。」
ひひひー

ハウスヴィーテン伯爵はこうだ
「無教養なモーツァルト、自分の俗悪さでオペラを冒涜しておる」
あはー

宮廷作曲家サリエーリ先生はこうだ
「ドイツ人のモーーツァルト!あいつに音楽のことなぞ何がわかるものかッ」
ひひーーーっ

次は僕です。
…僕っていいやつなのに、なぜ爪弾きにされるんだろう。(首こてんor口プクー)

これだからオペラって凄いんですよ
男爵、オペラのほうが普通の芝居より遥かにリアルなんだ。だって劇作家なら、いまこの瞬間をみんなの思いを表現するのに、順番に書いていかなきゃならないでしょう?でも作曲家なら、それをいっぺんに表現することができる。しかも!それぞれの音を、ちゃ ん と 聞かせながら。

声の四重唱。素晴らしいじゃないですか。そうだ。僕30分も続くようなフィナーレ書こぉっと。
四重唱が五重唱に、五重唱が六重唱に、音が重なり高まって、全っく新しい音になるっっ…、

神様はこうして世の中のことをお聞きになっているに違いないんだ。何百万という声が一つに集まり天に昇り、神様の耳の中で混ざり合い、想像もできない果てしない音になるんだ!

これが僕たちの仕事じゃありませんか?僕たち作曲家の!(サリエーリに向かって)
あの男この男、あの女この女の心の思いを一つにまとめるんだ!小間使いの想いも…宮廷作曲家の思いも……そして聴衆を神に変えるんだ。



…はぁ(背もたれに寄りかかって、恍惚とした表情を浮かべる)

……


(手の甲を口に当てて空気音)プフー!
ハハーっ、ごめんなさい一日中バカなことばっかりだ。

口ではバカなこと言ってても、心は違うんです男爵。